れんねメモ

タグ: ムー大陸の最後

※初めての方はトリップする前に「れんねメモとは」をご覧ください。

前回の エジプト(紀元前26世紀前後) の時代からさらに大きく遡る。太平洋上にあったとされるムー大陸の記憶だ。
前世療法で古代文明の大陸が沈む記憶の出てくる人は何人かいた。私の記憶も同じような感じだ。
ただ、ムーの他にアトランティスの伝説も最後は海に沈んでいるので、邪馬台国と同様みんな同じ大陸の記憶かどうかは分からない。

私の記憶の中で特徴的なのは、人々が逃げまとうような場面は無く、誰も沈むとは信じていないような感じの中で大陸を出発する点だろうか。
そして航海の途中で、おそらくノアの箱舟ではないかと思える巨大な船と出会っている点も特徴的だ。

ムー大陸も箱舟もあくまで現代の感覚で見ると似ているというだけで確信があるわけではないが、そう解釈していくと色々伝説が重なって個人的には興味深く思えた。
とにかくこれらの記憶を整理して幼少期から順に書いてみようと思う。

  • 時代(西暦): 紀元前1万2000年前後、190代前後で亡くなる
  • 主に住んでいた場所:ムー大陸から現在のインドネシア辺りに移動
  • 主な職業:長老?

※以下は、れんね瞑想と短縮瞑想で出てきた記憶を幼少からまとめている

幼少時代(10才前後)

やさしい両親の元で育てられた。そんな平和な場面が出てきたのだが、何か違和感がある。親が本当の親では無いという違和感だ。
どうも本当の生みの親はすでに亡くなっており、幼いうちにこの育ての親に引き取られたようだ。
私の場合とにかく幼少期に親を亡くす前世が多い。
まぁでも親は早いうちにいなくなった方が余計な情に引きずられる必要が無く活動しやすいので、ワザワザそういう運命を自ら選んでいるんだろうなとも思う。

本当の生みの親については、まだ私が赤ん坊だったころに亡くなっているようで記憶としてはほとんど出てこない。
無理やり見た感じでは母親が何らかの事故で早くに亡くなり、父は漁師か何か海の仕事をしていた関係で一時的に友人夫婦の家に預けられていたが、ある時父も海で遭難したのか帰ってこなくなり、そのまま友人夫婦が育ての親になった感じだ。
私自身は育ての親が本当の生みの親では無いという認識は早くから持っていたようだ。

  • 弟の誕生
    弟の誕生

10歳前後の頃、育ての親の元に子供が生まれた。
私の弟となる子だ。親はすごく喜んでいる。
弟が出来て私もすごくうれしいのだが、心のどこかでこの夫婦にとって本当の子供ではない私はもういらなくなるんじゃなかという不安も多少感じてはいたようだ。

そしていずれはこの親の元を離れて一人で生きていけるようならなければと、早く大人になりたいと考えるようになった。

謎の団体(13才前後)

まだ子供ではあったが、自給自足と言う生活にあこがれを持つようになって、色んな大人と接して食べられる植物の見分け方や魚の捕り方、野菜の育て方などを手伝いながら学んでいた。
そんな時、道端で妙な人たちを見かけた。今でいう宗教的な団体だったと思う。
神の存在、そして我々人間がこれ以上傲慢になってはいけないというそんな話を説いている人達だった。
何となく興味を持ちよく彼らの話を聞きに行くようになった。

  • 謎の団体の会議
    謎の団体の会議

そしていつの間にか彼らのグループに加わり会議のような場に参加するようになった。
そこでは近い未来にこの大陸が海に沈むという話を聞かされた。
その時のためにこのグループでは各チームに分かれて船を造ることになっていた。

もちろん最初は半信半疑だった。この大陸が沈むなんて考えられない。
ただ船を作ることにはとても興味がわいた。自分みたいな子供でも船を造ることに関われたらその技術は大人になった時に色々役に立つかもしれないと考えた。

1つのチームは3人前後だが、船は10人前後乗れる設計で作る。それぞれの家族を乗せられる計算だ。
私と同じチームになったのは、私より年下の12歳ぐらいの男の子と、20歳ぐらいの年上の女性だ。
この団体の指導者関係は大人だったが、団体の参加者は結構子供も多い印象だった。
多分大人にとってはこういう団体って怪しいというか胡散臭いのだろう。私もこの団体については親には内緒にしていたっぽい。船を造ることも親には友達と趣味で造るみたいな話をしてごまかしていた。

正直大陸が沈むから脱出のための船を造っているなんてとても親には言えない。絶対に信じないだろうし自分自身もまだ半信半疑だった。
もし本当にそんなことが起こったらその時に説得してすぐ乗れるように準備だけしておけばいいと思っていた。

船造り

船は浜辺から結構離れた高い場所で造っていた。
それは大陸が沈み始めるとその場所まで水面が上がってくる事を想定しており、ある意味その船が水面に浮かんだ時が脱出のタイミングだと決められていたからだ。

船を造るチームの中では年上の女性がリーダーだったが、私の手先が器用って事もあり何かと私が頼りにされるようになった。ここでは仲間の年下の男の子をコブーン。年上女性をアネーキと呼ぶ。分かりやすくするためであって名前に全く意味はない。

  • 船造り
    船造り

船作りで一番気を使ったのは表面に塗る防水剤のようなもの。
水がしみこまないように木の隙間をしっかり埋めるためのドロドロした接着剤のようなものだ。
何で出来ているのかは今の自分には分からないが、前世の自分はこれで船が防水加工できることにすごく興味を持っていた。
そして屋根を作ることにもこだわった。とにかく中に水が入らないように気を使った。
何かさっきの防水材を利用して船が沈みにくいように船体の一部に空洞を保てる構造にしていた感じもある。

船がおおよそ出来上がると、今度は食料や水の入れ物も防水加工して、船から落ちてもそれ自体で浮かぶような構造のものを考えて作っていた。
この頃にはもう色んなものの設計を自分が担当して、コブーンやアネーキにも作り方を教えていた感じだ。
大陸が沈む話は怖いけど、船造りは楽しくて結構夢中になっていた。

なおイラストはさすがにムーの時代の衣装とかさっぱり分からないし、記憶の中でも何となくしか分からないのでかなり適当だ。ただ脱出に使った船は現代の船のように先細りする感じではなく本当に四角って感じで屋根を付けていたのは確かだと思う。それは風で進めたり漕いだりすることはほとんど考えられておらず、本当に潮に任せて漂うだけって感じの船だったので、船と言うより水に浮かべた家って感じだった。

ムー大陸の街並みも、超古代文明って感じの何か特別な驚くような建物とかのイメージは出てこなかった。 わりと石や木で造られた普通の家が並び、ただ高い所に宗教的な高い建物があったぐらいだろうか。私達のいた街が田舎なだけだったのかもしれないが、比較的のどかなノンビリした感じの街だった。

大地震(15才前後)

15歳前後の頃。船は完成していたが半分放置状態だった。
でもこのまま大陸が沈むことなく済めばそれはそれで幸せなことだ。

しかしある日、突然地震が起こった。今までにないような大きな地震だった。
それまで半信半疑だった大陸沈没の話が、もしかして本当に起こるのではとすごく不安になった。
街では騒ぎにはなっていたが、でもちょっと大きな地震ってだけでいずれはおさまるだろうとみんな考えていた。

自分は船を見に行った。いつもより浜辺が異様に近くなっていることに気付いた。
謎の団体の人達に会いに行くと、急いで自分の家族に説明して船が水面に浮かんだらすぐに沖に出るように言われた。
自分は家に帰った。この時、父親は弟と一緒にどこかに出かけており母親しかいなかった。私は母親に大陸が沈む噂があると話した。母親はまさかと言う感じで信じてはくれなかった。母は父と弟が気になるから見てくると言う。

私は母にとにかく父と弟を連れて一緒に船の所まで来て欲しいとお願いした。水位が増して船が浮かんだら、すぐ出発する事になっているから急ぐようにも伝えた。でも内心あんまり信じてもらえていない気がして、船には間に合わないだろうなとも思っていた。
なのでもし街にまで水が入ってきたら、もう自分の船は出発しているはずだから迷わず街の大きな船の所に向かうようにお願いしておいた。
街が沈みだす頃にはさすがに多くの船が脱出用として一般の人も乗せてくれるだろうと思ったからだ。
細かい状況までは分からないが、おそらくはそんな感じで育ての親とのここでの別れが結局最後となった。

船出

  • 決断
    決断

船の場所に戻ると船のすぐ近くまで水が来ていた。
やがて船が水に浮かび始めた。そんな所まで水位が上がっているのに街の人達は一時的なものだと考えてあんまり気にしていない様子だった。
コブーンとアネーキは何とか嘘をつくなどしてうまく親兄弟を連れてこれたようだ。
いよいよ水位が上がって来て、あとは私の家族のみと言う感じになっていた。

待っている間、知らない母娘がやって来て、船に乗せてもらえないかと頼まれた。
正直自分たちの家族で一杯だったし、この二人を乗せたら私の両親は乗れなくなる。
コブーンが私に気を遣って断ってくれたのだが、もうとっくに出発すべき水位は超えていて親が来る気配は全然なかった。
私はもう意を決して、とにかくその母娘に乗ってもらうことにした。
何となくだが、ちょうど親の二人分の席がこの母娘のために実は用意されていたような気もしたからだ。
そして親は街の船に乗せてもらえていることを願って出発することにした。

少し沖に出た頃、30歳ぐらいの大人の男性が一人で泳いで私達の船に近づいてきて、乗せて欲しいと頼み込んできた。ちょっとビックリした。
もう船にしがみつかせてもらうだけでもイイからと、なんならオレが船を進めてやろうかと足で泳いで船を押し始めた。
ちょっとその強引さが怖いと思ったのだが、すでに陸からは結構離れているし、追い返すわけにもいかず男に手を差し出して船に乗ってもらった。
とにかくおしゃべりで調子のいい男性だった。ここでは彼をシャベリンと名付けておく。
これでちょうど私の弟が乗れなかった分の席も埋まったことになる。
なんだか私だけ自分の家族三人が他人に入れ替わったような形になった。

  • お喋りの男
    お喋りの男

ムー大陸の消滅

船は大陸がまだ見える場所でしばらく留まっていた。まだみんな大陸が沈むとは考えられず、もし沈まなかったら大陸に戻ろうと考えていた。
大陸の街がゆっくり静かに時間をかけて沈んでいく。近所の建物が順番に波で見えなくなっていくのが分かった。

  • ムー大陸の最後
    ムー大陸の最後

私達の船以外にも何隻かの大きな船が見えた。私の家族も乗せてもらえていることを願った。
住んでいた街の一番高い場所に高い建物がある。おそらく宗教的な建物でその建物が最後にゆっくり沈んでいくのが見えた。
これでもう帰る所が完全に無くなった。何とも言えない絶望感が船の中で漂いみんな沈黙した。

碇のようなものを降ろしていたのかよく分からないが、何かロープを切るか捨てるような感じのことをする。それがいよいよ大陸から離れる合図となった。
帆は無かったので多分潮に任せて航海する感じだったのだろう。新しいどこかの土地に辿り着く事を願って私達は出発したのだ。

箱舟

私達の船は全長10mぐらいだったと思う。とりあえず10人前後が何とか乗れる程度の小さなものだ。
食料と水は少しずつ分け合って何とか2週間ぐらいもつ計算だったと思う。
大陸はすっかり見えなくなっていた。
みんなは少しでも食料がもつように魚を試行錯誤しながら捕ろうとしていた。
すると最後に助けたシャベリンがやたら魚を捕るのがうまくて、その捕り方をみんなに教えてくれた。
脱出時に助けた母娘の娘は、同じ年かやや年下って感じの女の子で、とても気づかいの細かいマメでやさしい女性だ。なのでここでは彼女をマーメと名付けておく。
私は水を確保するために、雨水を貯める仕掛けなのか蒸留水を造る仕掛けなのか、何かそんなものを懸命に作っていた。
最初のうちはみんな何とかなるだろうと笑顔もあったのだが、何日か過ぎると段々みんな静かになっていった。
本当にどこかに辿り着けるのかと不安になった。

  • ノアの箱舟
    ノアの箱舟

そんな時、向こうから船が近づいてくるのが見えた。それもかなり巨大な船だ。
これは助かったと思った。みんな大騒ぎで手を振って合図を送る。
しかしその船が近づいて来ると別の不安が湧いてきた。これがどうも普通の街の船ではない。何か異様で誰も載ってないような雰囲気の見た事もない黒い変な船だ。
全長100m以上ある感じで高さも無茶苦茶高くて、これどうやって乗るんだって感じの高さだ。
と言うかあまり近付くとこっちの船がぶつかって壊れるんじゃないかという感じがあって、下手に近付けないのだ。

巨大船の甲板に人影は見えるのだが2、3人しか現れない。こんなに大きな船なのに人が乗っていないのだろうか?
その乗員と手旗信号のような何か腕のサインで会話を試みた。何か重要な荷物を運ぶ船らしく、人間はほとんど乗っていないようだ。
この場面を見ている現実の私の中でピンと来たのだが、これは今で言うところのノアの箱舟ではないかと言う気がした。この巨大な船体の中に沢山の動物が載っているのではと思った。

箱舟の乗員が、乗り込めるようにロープを降ろしてくれたのだが、波もあって箱舟に近づくのも難しくあんな高い所まで落ちずにロープで全員が登れるとも思えない。
登れる者だけでも箱舟に乗せてもらおうかと話し合ったのだが、結局全員一致で箱舟には乗らないことにした。
ただ出来れば食料や水の貯えがあったら分けてもらえないか交渉した。すると箱に食料や水を入れてロープに繋いで放り投げてくれた。これはすごく助かった。

箱舟の乗員と信号で対話を続け、自分達は森のある住める土地を探している事を伝える。
箱舟は何やら目的地が決まっているらしく私達よりももっと遠くに行かなければならないらしい。
でも私達の目的とする森のある住める土地も途中で見つかるかもしれないから、よかったら箱舟に付いてくるとイイと言ってくれた。
私達は箱舟についていくことにした。食料と水については箱舟に充分余裕があるらしいので、それを頼れることを考えればとても助かる。
箱舟から離れないように同じ潮に乗って、距離が開いてきたら漕いで調整する形で共に何日間か海を漂った。

この箱舟について色々占って確認してみた。やはりノアの箱舟の伝説の元となる船だったようだ。この巨大な船体の中には色んな動物がいて人間は少人数だったのかもしれない。 ムー大陸から脱出した船ではあるが、私達が住んでいた街からかなり離れたところに住んでいた人達の船のようで、私達は全くこの巨大な船の存在を知らなかったようだ。 ただ大陸が沈む時に大雨が続いたというイメージは無かったので、伝説の内容とは時代も含め色々違う部分も多い。おそらく部分的に伝説のベースになっているってことだとは思う。

ムー大陸から脱出した人達は私達以外にも沢山いた。私達は結局西方面に流されていったのだが、イースター島やアジア方面などにも辿り着いたムー大陸出身の人達は大勢いると思う。

ちなみに私はイースター島のモアイ像はお墓と言うイメージがある。多分元々はムーから辿り着いた先住民のお墓だと思う。私も亡くなったあとモアイ像のようなあんな大きなものではなかったがお墓を作ってもらったようだ。

漂着

途中で小さな無人島を見かける事はあったのだが、森が無く生活が出来るような島では無かったので上陸自体しなかった。そんな感じで2週間以上は海を漂っていたと思う。
ようやく森のある島が見えてきた。シャベリンが「ここはイケル!」って感じで一足先に泳いで上陸し森の向こうへ走っていった。
しばらくすると浜辺に戻って来て手を振って大声で喜んでいる。
箱舟は浜辺に近づけず上陸する気もないようだが、しばらく待つからこの島に住むかどうか検討するように言ってきてくれた。

船をみんなで引っ張って浜辺に固定する。森があるなら雨水を貯めることが出来るし、陸地もずっと見えないところまで続いている感じなので、いずれ川も見つかるかもしれない。
みんなで話し合い、とりあえずしばらくここに住んでみようという事で決定した。
箱舟にその旨を伝えた。

箱舟には本当に助けられた。箱舟がいなかったらとっくにみんな飢え死にしていたかもしれない。
みんなで箱舟の無事の航海を願って大きく手を振りながらお別れした。

  • 箱舟とのお別れ
    箱舟とのお別れ

先住民

しばらくは私達の船が家代わりになっていた。
水はとりあえず船に積んでいた桶で雨水を貯められるようにしておく。
食べ物は箱舟からもらった物がまだあったが、おそらく野菜の種のようなものもいくらか持ってきており、畑の計画を立てる。
魚を捕るのはシャベリンに任せて、私と他の仲間で森を探検することにした。川を探すのが目的だ。

木に印をつけながら日数をかけて少しずつ遠くまで森を進むようにした。そして1週間もかからなかったと思うが、川を見つける事が出来た。
さらに川の魚が取れないものかと上流にも進んだ。すると滝の近くに石でできた祭壇のようなものを見つけた。私達以外にこの島に住んでいる先住民がいるらしい。この情報を浜辺に持ち帰ってみんなで話し合った。
先住民がいるという事はいつかは私達と接触する形になるだろうし、ここは警戒される前にこちらから敵意が無い事を示す必要があると考えた。するとシャベリンが交渉役として付いてきてくれることになった。

  • 先住民
    先住民

祭壇なのでおそらく先住民が現れるのは明け方の可能性が高いと考え、明け方を中心に祭壇場所の様子を見に行くことにする。
するとやはり先住民らしき2人が祭壇で儀式を行うために現れた。儀式が終わったタイミングでシャベリンが彼らの前に現れて交渉を始めた。
最初は先住民も驚いていたが、シャベリンの巧みなパフォーマンスで、敵意が無い事は伝わったようだ。こちらが用意した大陸の食料が珍しかったのか喜んでもらえたようで、最後は祭壇の神に一緒に祈るポーズをして信頼を得られたっぽい。

その後何度か先住民とのやり取りはあったが、お互いあまり深く干渉することは無かった。
一度先住民の祭壇に通っている二人が使者として、何やら以前のお礼なのか食べ物を持って浜辺の方に訪ねてきてくれたことがあった。
2人は私達の船を見てビックリしていた。そして夜は一緒に食べて喜んでくれた。
翌朝は笑顔でお別れして、私達はとにかく先住民たちに認めてもらえたんじゃないかと安心した。

結婚(20才前後)

その後、私とコブーンとアネーキのそれぞれの家族の家が出来上がった。と言っても仮の簡単な家で
風をよけるために森に少し入った辺りの木の隙間を利用して、それぞれの家が出来上がっていた。
その後もまたしっかりした家を造り直したりして徐々に家が増え、ちょっとした村のような感じになっていった。

  • 結婚
    結婚

私の家には、いつのまにかシャベリンとマーメとマーメの母が住んでいた。
シャベリンがやたら私とマーメをくっつけようとしていた。それに乗せられたというわけではないが、私はマーメと結婚した。
ちなみにシャベリンもマーメの母と結婚した感じはある。そのかなり後になって、コブーンとアネーキも結婚したと思う。

思えばシャベリンとマーメ母娘は、私の育ての両親と弟の三人が乗るはずだった船に、入れ替わるような形で同じ日に出会ってそのまま一緒に生活するようになった。
もちろん育ての親と弟はちゃんと大陸を脱出できたのか、思い出してしまう事は時々あった。
でも今はシャベリンとマーメ母娘の三人が私にとっての新しい家族だ。
シャベリンはその後も私の父親代わりとなり、マーメの母が私の母親代わりでもあった。

記憶の伝承(150才前後)

マーメと結婚した後は、子供も沢山生まれた。多分10人以上いたと思う。そして子供達も次々と成長し孫も曾孫も沢山生まれた。
先住民たちともお互いにイイ距離感を保つことが出来、特に大きな問題は何も起こらなかった。ここは交渉役となったシャベリンの活躍のおかげだと思う。その後は本当に平和に暮らせていた感じだ。
この生ではあんまりスピリチュアル的な匂いはしない。占いも特に何か道具を使うわけではなく、天候などの自然の動きなどから未来を予測して行動していたようなぐらいだったと思う。

ムー大陸の人々は元々寿命が長かったのかもしれない。私もかなり長生きした感じだ。おそらく200歳ぐらいまで生きていたと思う。
と言うのも私が年老いた頃にはどう見ても1000人は軽く超えるぐらいの村が出来ていたからだ。

  • 記憶の伝承
    記憶の伝承

私が150歳ぐらいの頃だとは思うが(現在の人類に換算すれば70歳ぐらいか)、もう私達がどこから来たのか知らない世代が多くなっていた。
ムー大陸の事を記録として残していかなければと思い、私は石板のようなものに絵文字を一生懸命彫っていた。

最初は浜辺の大きな岩に掘っていたのだが、子供達に伝えるだけならそれでよかったが、私が亡くなった後も残したいと考えるようになり、浜辺の岩ではいずれ波で削られて消えるので、森の奥の洞窟に彫ったり、石か何か小さいものにも彫るようになった。
沢山の石に彫って、その石を使いながら昔の事を知らない世代にムー大陸のことを伝えていった。
子供達が集まって興味深く聞いてくれた。それがうれしくて先祖の事をもっと簡単に伝えようと歌を作ったりもした。
こうやってムー大陸のことを伝え残していくことが私の役目のようにも感じていた。

この私が彫った絵文字は、占ってみたところ現代ですでに発掘されているらしい。 私の中では海岸の大きな岩に彫ったのと、森の中の洞窟っぽい所を見つけてそこに彫ったのと、最後は抱えられるぐらいの大きさの石に彫っていた記憶のイメージがある。 多分インドネシア辺りで発掘されている絵文字石などの中に前世の私が描いたものもあるんだろうなと思う。

晩年(190才前後)

いつの間にか、その村では私が一番年上となっていた。
シャベリンはすでに亡くなっていた。マーメも先に逝ってしまったのか気配がない。私は長老のような立場になっており、村の事は子供達に任せて、私はひたすら石板にいろんな絵文字を描き続けて、ムー大陸の記憶を形にして残していくことに夢中になっていた。

そろそろ自分も死期が近づいていることを悟る。
その頃には、逝くなら海を見ながら逝きたいと思って、毎日のように海を眺めていた。
遠くの浜辺で子供たちが楽しそうに遊んでいる。そのにぎやかな子供たちの声が時折風に乗って途切れ途切れに聞こえてくる。
あの子たちはムー大陸の事を知らない。知っているのはもう私一人になってしまった。

私の記憶が作り出す幻なのか、水平線の向こうにあのムー大陸が沈む時に見た宗教的建物が陽炎のように見えているような気がして涙があふれてきた。
それは育ての親や弟の事を思い出してしまうのか、それとも一緒に脱出したシャベリンやマーメ達の事を思い出してしまうのか。自分でもよく分からないが何とも言えない切ない気持ちになった。

そうして私は一人静かに息を引き取った。

  • 記憶の幻
    記憶の幻